今回書評するのは、超超有名マーケターでコンサルタントの神田昌典さん「稼ぐ言葉の法則―新・PASONAの法則」と売れる公式41」です。
著者は冒頭で、あなたの中に、何かものを売ることに、苦手意識があったり、ちょっとでも抵抗があったりするなら、それを完全払拭するのが、本書の目的だといっています。
売るスキルを持ち、稼げる自分になる。そのための「入門書」であり、「バイブル」にしてほしいのが、このハンドブックであるとのこと。(p.1~2)
この本から得られるものとして、
・稼ぐ言葉を掘り当てる「5つの質問」
・新・PASONAの法則
・売れる公式41
「売り手」と「買い手」が接点を持つその瞬間で使われる“言葉”にフォーカスし、その結果、見出した稼ぐ現実をつくる2つのセオリーがある。
それが、「稼ぐ言葉を掘り当てる『5つの質問』」と『新・PASONAの法則』であると。この2つのセオリーを使えば、どんな業種、異なる規模、異なる商品の会社を相手にしても、20分以内、に売るために必要な情報を導き出し、売れるように変えていくことができるといいます。
今回は、2つのセオリー「稼ぐ言葉を掘り当てる『5つの質問』」と『新・PASONAの法則』に焦点を絞り紹介していきます。それでは内容に入っていきましょう。
目次
稼ぐ言葉を掘り当てる「5つの質問」
【質問1】で、「商品」の特徴をわかりやすくする
【質問1】
あなたの商品は、ずばりどんな商品か?
その特徴2つを20秒以内で直感的に分かるように説明すると?
ひとつのことに耳を貸せる時間はテレビコマーシャルと同じくらいの15秒から、長くても20秒であること。
より明確なイメージをもってもらうこが重要とのことです。
【質問2】で、商品をほしがっている「顧客」を見つける
【質問2】
この商品を20秒以内で説明しただけで、「なんとか売ってくれ」と頭を下げて、
嘆願してくれるお客は、どのようなお客か?
人が行動を起こす原因は、次の2つだけ、
「苦痛を避けるため(に売ってください)」
「快楽を得るため(に売ってください)」
売上を上げるためには、「苦痛を避けるため」の切り口を打ち出すほうが、圧倒的に結果を出しやすいといいます。ここで注意したいのは、苦痛を避ける提案をすることは、苦痛をあぶりたてることとはまったく違うということ。顧客の痛みを自分のために利用してはならない。
顧客の痛みを、自分の痛みとして感じられる感性を、あなたが持てるかどうか?それが、売るためのコミュニケーションを取るうえで、最も重要な資質であると。
ここまでの【質問1】【質問2】により誰でも短時間で、「商品」と「顧客」に関する情報を集めることができるようになり、
◎商品についての知識は、「提供する」価値を引き上げる
◎顧客についての知識は、「受け取る」価値を引き上げる
双方が交換する価値、すなわち、価格が最大化する。言い換えれば、価格とは、「相手を思いやる気持ちの深さ」によって、決まってくるのである
(p.42)
【質問3】で、「自社」の信頼性を表現する言葉を見つける
【質問3】
いろいろ似たような会社がある中で、既存客は、なぜ自分の会社を選んだのか?
同じような商品を買えるような会社がいろいろある中で、なぜ既存客は、自分の会社から、
この商品を買うことにしたのか?
この質問のポイントは、既存客がなぜ自社を選んでくれたのか、というところ。これかた買う新規客が自社を選ぶではなく、既存客が自社を選んだ理由を知りたい、なぜなら、何が自分の強みなのか、見えなくなっている会社が多いからだ。
あなたの会社の、何が評価されているのか、既存客の視点から考え、その答えを、新規客にしっかりと伝えられるように言葉にしていくことが重要。
【質問4】で、さらに顧客の内面に入り込み、「共感」を得る
【質問4】
いったい、お客は、どんな場面で、怒鳴りたくなるほどの怒りを感じているか?
どんなことに、夜も眠れないほどの悩み・不安を感じているか?
どんなことに、自分を抑えきれないほどの欲求を持つか?
その「怒り・悩み・不安・欲求」をお客が感じる場面を、「五感」を使って描写すると?
この質問で、顧客の痛みは、自分の痛みであることを深く感じ、ハートとハートでつながるレベルになる。
顧客の内面を深く想像することで、自分の内面にも深く入り始め、自分にしかできないことが浮かび上がるとのこと。
【質問5】で、顧客の安心を見つけ、圧倒的な「証拠」を提示する。
【質問5】
なぜこの商品は、その悩みを簡単に、短時間で解決できるのか?
それを聞いたとたん、お客はどんな疑いを持つか?
その猜疑心を吹き飛ばす“具体的・圧倒的な”証拠は?
商品サービスを購入するということは、顧客にとっては「自分の抱えている問題を解決する」ということ。
もっと言えば「“今の自分か”から“新しい自分”に変化する」ということになります。
商品サービスの購入による「自分の変化」に対して、できるだけ安心してもらえるように、事前に、十二分に購買判断に役立つ情報を挙げておく、その情報を引き出すのが質問5である。
以上が必要な情報を20分間で引き出す「5つの質問」となります。
著者が20年以上に及ぶ経験則から見出した、最小限の質問セットです。
顧客のことを深く考えることで、結果としては、自分の内面を深く見つめ直すことにもつながります。
新・PASONAの法則」
Problem……問題
買い手が直面している問題、もしくは顧客が切望する欲求を明確化する。
Affinity……親近感
買い手と同じ痛みや、同じ望みを持っていることを、ストーリーや五感を通じて描写する。
Solution……解決策
問題が解決、もしくは欲求が実現できる方法があることを伝える。
Offer……提案
具体的な提案を行う。サンプル、モニター、お試しや、価格、特典を明示する。
Narrowing down……絞り込み
提案を受け入れ、問題解決もできる、もしくは欲求実現できる人が満たさなければならない条件を挙げる。
Action……行動
緊急に行動しなければならない理由を挙げ、行動へのあと押しをする。
時代に左右されない、不変(普遍)のノウハウとし、解説されている「新・PASONAの法則」ですが、使用する際には、順番を変えて活用することも推奨されています。商品や客との関係性によってカスタマイズしていきましょう。
この「新・PASONAの法則」は、人が成長していく物語とまったく同じと著者は主張します。
売り手とは―、松陰がもたらす新しい世界を体験していただくことによって、書いてがヒーローになるように、導いていくメンターの役割を担っているのである。
販売とは、決して「売り込み」(セールスパーソン)ではなく、「語り部」(ストーリーテラー)の仕事であると強調しています。本書で学んでいるのは、分離しつつある世界を、言の力により再び統合へと向かわせる技術だと。
商品を売りつけているように思えるかもしれないが、それは新しい世界を具現化した商品というカプセルに同時に閉じ込められた「言葉」と「イメージ」を開放していく、とても崇高な行為なのであるといいます。
まとめ
YouTuberや副業で何千万と稼ぐブロガーなど、個人で稼ぐことができる人たちが増えてきているのは肌で感じます。
今までは、個人で生きていくためには会社が必要だった”という時代から、会社が成長し続けるためには、会社にしがみつく個人ではなく、稼ぐ力を持った、自立した個人を必要とするようになったと著者は主張しますが、会社に依存せずに生きていくために、売る力を磨いていきたい、自立した個人となるための、まさにバイブルとなる一冊ですね。手元に置いて活用していきたいと思います。
今回紹介できなかった「売れる公式41」ですが、著者が20年間のコンサルティング経験を凝縮した理論体系がまとめられています。こちらも必見です。ぜひ手に取ってお読みください。
著者のプロフィール
著者:神田 昌典
経営コンサルタント・作家。㈱ALMACREATIONS代表取締役。日本最大級の読書会「リード・フォー・アクション」主宰。わかりやすい切り口、語りかける文体で、従来のビジネス書の読者層を拡大。「ビフォー神田昌典」「アフター神田昌典」と言われることも。『GQ JAPAN』(2007年11月号)では、「日本のトップマーケター」に選出。ベスト&ロングセラーも多数。
本の目次
はじめに
PART 1 稼ぐ言葉を掘り当てる「5つの質問」
PART 2 「新・PASONAの法則」で、売れる言葉の“流れ”をつくる方法
PART 2 【貧す人】 vs 【稼ぐ人】売れる公式41
著者書籍
・売れるコピーライティング単語帖
・ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則
・成功者の告白 等々