書評

【書評】レバレッジ・リーディング―投資としての読書

 

著書累計が300万部を超えるベストセラー作家であり、会社経営、ベンチャー企業への投資・育成、社内外への経営参与など多岐にわたり活躍する、超スーパーエリートの本田直之さんが読書について書いた一冊。

著者は、日米10社の会社の経営に参加しながら、毎日必ず新しい本を1~4冊読んでおり、合計すると、年間で400冊の本を読んでいるとのこと。

んっ?計算が合わない。1年間って365日だよな…。まず1つ目の疑問。

表紙の帯より、なぜ「速読」より「多読」なのか?との記載を見て、速読で読んでいるから年間400冊読めるんじゃないの?…2つ目の疑問。

その方法は「レバレッジ・リーディング」…なんじゃそりゃ!!…3つ目の疑問

 

著者は1章で、

この本は読書家のための本ではありません。教養のための読書や、単に早く読むための方法論を紹介した本とも違います。「ビジネスで成功したい」という目的をはっきり持った人のための本なのです。

(p.40)

また、続けて「レバレッジ・リーディング」は誰にでもできる、簡単な読書法で、マスターするのに特別な技術は一切ないと断言しております。

“1日1冊のビジネス書を効率的・戦略的に読みこなす投資としての読書法”

平凡なサラリーマンの私でも身に付けられるレバレッジ・リーディング、ぜひ身に付けたいと思い手に取りました。

この本から得られるものとして、

・多読術

・本を選ぶ際のコツ

・ビジネス書を戦略的に読破する方法

本記事では、一部ではありますが、多読のエッセンスを紹介していきたいと思います。

それでは内容に入っていきましょう。

目次

レバレッジ・リーディング

読書=投資活動

著者は読書という行為を、経済的行為、つまり投資活動として捉えており、この本を読んで得た知識をビジネスに生かすことで、1500円程度のビジネス書1冊から得た知識は100倍のレバレッジが効いておよそ15万円の利益を生むとし、読書こそが最強の投資と断言しております。

ビジネス書を読むことを推奨する理由としての一文で、

汗水たらし、血のにじむような努力をした他の人の数十年分の試行錯誤の軌跡が、ほんの数時間で理解できるよう、本の中には情報が整理されているのです。

(p.30)

他人の経験を疑似体験する割安な方法として、世界的な経営者や様々なビジネスで成功した人のノウハウが詰まったビジネス書を読むことを推奨しています。

 

レバレッジ・リーディング

レバレッジ(leverage)とは、「てこ」の働きのことを指していますが、てこの原理のように少ない力で重い岩を持ち上げるがごとく、現実のビジネスでも少ない労力で大きな結果を出すにはレバレッジを意識しているかが重要です。ビジネスにおいては、レバレッジをかけるには、本を読んで、そこに書かれているノウハウを自分流に応用し、実践で活用することとしています。

私を含めた99%の人間は、誰か成功した人のやり方を学んで、そこに自分なりの応用を加えるのが、成功への近道だと思います。試行錯誤に時間や労力を使うのではなく、結果を出すために時間や労力を使うことができるようになるからです。

(p.34)

多くの人の成功のプロセスを吸収することが必要です、これにより累積効果が出て、「パーソナルキャピタル(自分資産)」の言わば「含み資産」がどんどん増えていき、条件反射的に実践で必ず活用できるようになるのです。

(p.36)

このような発想から、著者は「多読術=レバレッジ・リーディング」を生み出しました。

 

自分の中の読書の「常識」を更新しよう

本は売る可能性もあるし、大事にしたほうが良い。⇒×

レバレッジ・リーディングでは、本に線を引いたり、書き込みをしたりして、一冊の本がボロボロになるまで徹底的に使い倒します。そのためにも、本は人から借りるのではなく、「お金を出して自分のものにする」ことが前提条件(p.52)としています。

 

せっかく、お金を出して買った本だから、全部隅々まで読み込んで、本から得た知識すべてを吸収しよう。⇒×

多読はふつうの読み方とは違い、すべてを読まず、必要なとこと、自分にとって役に立つところだけを選びとる読み方です。つまり、非常に読み手の主体性を重んじる読み方です。常に目的意識をもって「この本から何を吸収したいのか」を意識し続けます。ときには著者の考え方に疑いを持つこともあります。(p.64)

一冊のみを読んで、この著者の意見がすべてだと思い込んでしまう危険をさけるために多読をするのです。

改めて、私の常識は非常識だったと痛感。前の書評家の仕事印南さんしかり、9割捨てて―の山口拓朗さんしかり、同様の読書法を推奨しています。本を全部読むのはやめましょう。

 

投資的本探し方法

投資の手法を本選びに応用する

わたしは本の読み方だけではなく、探す段階からがとても重要であると考えます。なぜなら、レバレッジ・リーディングは投資活動だからです。

(p.71)

投資の手法を本選びに応用する方法として、レバレッジ・リーディングでは…

1.投資目的を明確にする

自分の人生の目標や現状の課題などを考え、今、必要なのはどんな本かを意識する

2.情報収集とスクリーニング

書評や口コミなど、自分の勘以外の意見を参考にして読むべき本を絞り込む

3.買い方

ネット書店とリアル書店のそれぞれの利点を生かして使い分ける

(p.72図より抜粋)

レバレッジ・リーディングの実践はここから始まると著者は言います。

 

自分にとってやさしくて読みやすい本を選べ

無理をして難しい本を選ぶ必要はなく、その中から一番とっつきやすい、わかりやすそうな本を選べばいいとした中で、2000円台の本よりは1000円台の本というように、なるべく安い本を選ぶのも1つの目安となります。

しかし、一方で大事なのは中身であって、体裁ではありませんとのこと。

また、難解で分厚い本は、多読法に慣れてからチャレンジしても遅くありません。本当に自分自身の目標や課題に合致する内容だったら、決して難しくは感じないでしょう。(p.79)

読みにくい本を我慢して読むのはやめましょう。

 

教養型よりは経験型を選べ

即戦力になるのは、自分にとってやさしい本、読みやすい本のほうです。ビジネスに役立つのは、理論より、実践のノウハウということです。したがって「教養型」の本ではなく、「経験型」の本を選ぶべきと主張しています。

経験型の本では、経験者に直接アドバイスをもらうということになり、他人の成功体験にレバレッジをかけるのが目的だからです。(p.80)

本選びの参考としてください。

 

ビジネス書を戦略的に読破する

カラーバス効果

本書の中で、加藤昌治さんの『考具』の中に出てくる「カラーバス効果」が紹介されています。例として、朝、家を出る前に「今日1日で、赤い色のものを何個見つけられるかな?」と思うことで、世の中にはこんなに赤があふれていたのかと驚くほど、ポストや赤い文字の看板など、赤い色が目に飛び込んでくる。ただ意識しているとそれが目につくというわけです。

このカラーバス効果をうまく使うと、素早くページをめくっても、目的の箇所が目にとまります。(p.141)こうすることで、理解のスピードと、脳への吸収率が明らかに違ってきます。

 

80対20の法則を読書に応用する

ビジネス書を読む場合にも、この法則は当てはまると著者は言います。つまり、読書を投資と捉えれば、本から得られるリターンの80%は20%を読むだけで得られるということです。したがって、一冊の本を全部隅から隅まで読まなくても、わずか2割を読むだけで、その本の著者が本当に主張したいことはほぼわかると言えます。(p.157)

「本は最初から最後まで、じっくり読むものである」という常識を捨てることが多読の第一歩ということですね。

 

まとめ

本を読み終える頃には、著者が年間400冊を読んでいたことに納得がいきます。私もレバレッジ・リーディングを習得して、本から得たことをビジネスで実践していきたいと思います。

本書の中で本をスクリーニングする際の参考になるメールマガジンや▼わたしのベストビジネス書として本田直之さんが厳選した図書も紹介されています。また、今回まとめた内容の他に本を読んだ後のフォローについても、有益なノウハウがまとまっています。ぜひ手に取ってお読みください。

著者のプロフィール

著者:本田 直之

レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長兼CEO。

シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQへの上場に導く。現在は、日米のベンチャー企業への投資事業を行うと同時に、少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジ・マネジメントのアドバイスを行う。

 

本の目次

はじめに

第1章 ビジネス書の多読とは何か?

第2章 本探しは投資物件選び

第3章 一日一冊、ビジネス書を戦略的に読破する

第4章 読んだままで終わらせるな!

 

著者書籍

・「レバレッジ・シンキング」

・「レバレッジ・オーガナイザー」

・「レバレッジ・マネジメント」 等々

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