リーマンブロガーのアウトプットの一つとして、今回は初の書評をアップさせて頂きます。
今回紹介するのは、年間500冊、書評を出すたびにAmazonランキングが急上昇するという、
超人気の書評家、印南敦史さんのプライベートの内容から裏話、ノウハウがまとまった一冊。
著者は冒頭で、
本書のなかからは単なる「書評ガイド」にはない複数の「入り口」を見つけ出すことができるのではないかと自負しています。
(表紙)
書評を書きたいという方はもちろん、興味がない方でも書評を書くにあたっても、「読み方」「書きかた」「選びかた」「接しかた」「考えかた」など、書評以外の仕事でも多くのこのことに応用できる重要なファクターがまとめられています。ビジネスシーンでも応用できる読み書きのスキルを高めたいという方や、ブログを書く際でも参考にできる思考が学べます。
これからブログで書評をするにあたって、私としては、少しでも技術を吸収すべく手に取りました。
この本から得られるものとして、
- 本の読み方・読書術
- 要約力(※ビジネスにも応用可能)
- 文章の書き方
本記事では書評家の視点や読書術、要約力に焦点を絞って紹介していきたいと考えています。
それでは内容に入っていきましょう。
目次
書評家の仕事とは~書評家に必要なこと・視点~
書評家に必要なこととして、
1.伝える=伝わりやすい書きかたを考え、実行する
2.共感をつかむ=読者目線に立つ努力をする
(P.33)
当たり前の話に思われるかもしれませんが、書評家がすべきことは1、2に尽きると著者は主張し、特に、2の“読者目線に立つ努力をする”という読者ファーストの考え方は、本書のなかで一貫して伝えられています。
なるべく読者が見えているであろう方向を向き、自分もそこにあるものを見て、多くの人がそこからなにを感じているのかを推測するようにしているとのこと。
書評家としての視点をあえて羅列するなら―
1、読者は、なにに興味を持っていて、なにを知りたいのか
2、読者が知りたがっていて、でも知らないことはなにか
3、多くの読者は、(仕事において、プライベートにおいて)どのようなことで悩んでいるか
4、どのような情報に、それらを解決する力があるか
5、そのトピックスに対し、個人的に関心を持てるか
6、そのトピックスに共感し、おおくの 人に広めたいと思うか
(p.68)
中でも、5.6、すなわち自分にとっての関心ごとや共感がなければいけないとも思っています。関心や共感があれば、それらを自信をもって読者におすすめできるからです。(p.69)
書評を書くときのみならず、ブログでのキーワード選定やSEOライティングにも通ずる視点となっています。
読書術としての書評
「本を読んでも忘れてしまう」など自分の読書法に否定感をもっている人に対し、読書術を身につけたいのであれば、書評を書く習慣をつけることを推奨しています。具体的には、
・あくまで「記録」と考える
・難しいことを考えない
・文字数も書きかたも自由
・人に見せない
(p.130)
形式にこだわらずに読むたびにその本の内容を、“自分なりに”まとめる習慣をつけることが重要とのこと。
こうすることのメリットとしては、
・内容をまとめる習慣がつく
・自分にとって印象的だった部分を再認識できる
・その本についての記憶を効果的に残せる
(p.130)
インプットした情報をアウトプットする習慣をつける、“習慣化”することが読書スキルを高め、記憶を定着化させることにつながります。
年間約500冊の書評で得た「要約力」
要約とは必要なポイントをまとめることであり、要約するにあたっては「どこに焦点を当てるか」を意識すべきだということです。(p136)
要約をする際に、まずすべきは、読む前に目次をチェックすること。そうすれば「自分に必要なのはこの部分だな」ということがわかるからです。そして、「ここは必要ないだろう」ということも感覚的に理解できるはずです。
そこで必要だと判断した部分に軸足を置いて読み、要約すればいいのです。必要ないだろうと思う部分まで無理して読んで要約したとしても―その作業が無駄だとまではいいませんが―結果的にはあまり役に立たないことが多いと思います。―いいかたを変えれば、必要なところだけを要約するからこそ、その内容が頭に入ってくるのです。しかも、そうだとすれば、要約するという作業はさほど難しいものではなくなります。なぜって必要のない部分、作業を省いたのですから。(p.136)
ついつい、1500円程度出して購入したビジネス書を手に取ると、全部読んで吸収しようと思いがちです。※私は少なくともそういう人間でした。
著者は「はじめに」の部分と目次を参考にしながら、読者が興味を持ちそうなパート(章など)を見極め、全体としてのバランスが崩れないことを意識しつつ、その部分を集中的に読み、書きする。書評を書くために読む場合、必ずしもすべてを読まなければならないものではないと主張しています。
また、要約する際の7つのポイントとしては、
- 誰に向けるのか、ターゲットを明確にする(自分なのか、他人なのか)
- そのターゲットが求めているもの(ニーズ)を見極める
- 当該書籍の目次をチェックし、ニーズにかなった部分を探し出す
- その部分を、どう伝えるべきかを“具体的に”考える
- “わかりやすさ”を意識しながら、その部分を簡潔にまとめる
- 書き終えたあとで推敲し、問題があれば修正する。
- 「あれが足りなかったのでは?」などと考えず、よい意味で割り切る
(p.138)
1、2が重要であることは当然ですが、同じくらいに無視できないのが7です。
要約作業に慣れていない場合、要約しながら「これでいいのだろうか?」「なにか足りないのではないだろうか?」と必要以上に考えてしまいがちだからです。しかし、実際のところは、なにかがないから文章がまとまらないということは、ほぼないといっていいと思います。
さらに著者は、すぐ要約できる「3ステップ・チェック」として
1目次をチェックし、全体の流れを把握する
2取り急ぎ必要なページを集中的に読み込む
3最後のまとめの部分を確認する
(p.142)
3点を挙げ、この手法は資料の内容を確認する際にも短時間で理解することに応用できます。
読書をする際のみならず、ビジネスシーンでのプレゼン資料の確認や会議資料の確認などでも直ぐに応用できる方法だと思います。
まとめ
今回まとめた内容以外にも、書評家の1日の仕事の流れや、多くの仕事をこなす著者の時間の使い方など、書評家の「裏」話的な内容を含め、書評家のガイドにはない、複数の入り口がちりばめられている一冊です。ご興味ありましたら是非手に取ってお読み下さい。
記念すべき初めての書評とさせて頂きました。
今後もサラリーマン視点ではありますが、人生の糧となるような、書籍の書評をアップしていきたいと思います。
著者のプロフィール
著者:印南 敦史
作家、書評家。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。主な書評発表媒体に、「ライフハッカー」、「東洋経済オンライン」、「ニューズウィーク」、「WANI BOOKOUT」など。年間約500冊という驚異的な書評量を誇る。
本の目次
はじめに
第1章 書評家の仕事とは
第2章 書評家の「裏」の話
第3章 年500冊の書評から得た技術
第4章 書評の技術・書評の教養
おわりに
著者書籍
・「遅読家のための読書術」
・「プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術」
・「読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術」 etc.